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よむ庭Vol.29 設計GLってなんですか?

みなさんこんにちは、設計の糸田川です。

今回は、家づくりにおいて、とても大事な設計GLについてお話をしたいと思います。
設計GLについて理解していないと、日々の生活が不便だったり、無駄なお金がかかったりと困ることがあるかも知れません。
これから土地を買われる方、図面製作中の方、建築中の方、これからお庭づくりを始められる方、すでに住まれている方、自宅の設計GLを聞かれたとき、すぐに答えられますか?
ドキッ!としたそこのあなた、ぜひ今回のよむ庭、目を通してみてください。


◆設計GLとは?

設計GL(せっけい じーえる)とは、建物をどの位置に建てるか、という高さの基準の話になります。

建物をどの位置に建てるか、という話になると、みなさん、東西南北の位置は気にされると思います。
例えば、建物はできるだけ北西に寄せて南東が広くなるように配置したい、など一般のお客様でも要望があるのではないでしょうか。
2D(平面)で見ると、話はそれで終わりそうですが、実際に建つ家は3D(立体)。
上記の話に「高さ」の考え方が加わります。
建物をどの高さに配置するかを決める=設計GLを決める、ということになります。



◆設計GLの基準

設計GLの表記はほとんどの場合、BM+〇〇㎜、というように、何かの基準(BM ベンチマーク)から見て、いくらの高さに建てますよ、という風に表記されます。

例)
・前面道路の側溝天=BMと図面に表記
・設計GL=BM+200㎜と図面に表記
上記の場合、道路の側溝の上の高さから見て、20㎝の高さで家を建築する、という意味になります。



◆そもそも、設計GLの高さで家が建つってどういうこと?

そもそも、決めた高さに家が建つ、という概念がいまいちわからない方もいると思います。
建物自体の高さは、家屋さんの基準で決まっています。
例えば、(見えにくい!申し訳ないです…。)

上記のような立面図の場合、設計GLがここで、その高さから見た基礎の仕上がり高さは45㎝(450㎜)ですよ、ってなってます。
建物の基礎は最終的に地中に埋まるので、建築中に見えている基礎の高さは45㎝よりも高いことが多いです。
しかし、最終、お庭を仕上げるときは、地面はこの高さで頼みますよ、という家屋さんからのメッセージ(?)ということになります。
この最終の地面の仕上げの高さ=設計GLということですね。



◆設計GLの決め方と決めるのは誰なのか

では、ここで、設計GLはどう決めるか、という話になります。
お客様に設計GLについて尋ねると、答えられない方がほとんどで、答えられたとしても、
「隣の家の高さに合わせましょうか、という話に家屋さんとなった」
「だいたい境界のコンクリート基礎に合わせる方が多いと聞いたのでそうしました」
とか、「一応、家屋さんと現場で話して決めたけど、よくわからないので言われたようにしました~」って人、多数。


でもちょっと待ってください。

それで本当に大丈夫ですか?

その高さで建てるってどういう意味か分かってますか?

知らずに家を建てて、後々、庭づくり中に知ってびっくり、後悔。
そうならないために、設計GLによって何が変わってくるのかを説明していきます!


※もちろん中には、理由をしっかり考えて、説明してくれる家屋さんもいます。
 また、側溝の深さや建物自体の排水の高さ、建築条例などにより、設計GLが変更できない場合もあります。



◆設計GLが変わると何が変わるのか

同じ建物、同じ敷地、同じ配置であっても、設計GLが変われば、お庭の計画はまるっと変わります。

①駐車場、お庭の勾配
②土留めの有無

上記の2点が最も大きな話になります。
ので、実際に検証していきましょう!
(本当は駐車場の位置やお庭を作るか作らないかなどによっていろんな支障がありますが、ややこしくなるので今日は1つのパターンでシンプルに考えていくことにします。)


【条件】
・前面道路から建物までの距離は6m
・前面道路はフラット、前面道路の高さをBM±0とする
・お庭のスペースは無しですべて駐車場として使用
・設計GLは、BMから、+120㎜、+300㎜、+480㎜、の3パターン

境界塀の見え方に注目してもらうと、勾配の違いがわかりやすいと思います。

■パターン1:設計GL=BM+120㎜
・6000㎜/120㎜=0.02 → 2%の駐車場勾配
・駐車場の水は道路に流れて、アクセルをそんなに踏まずゆっくり駐車できる理想的な勾配
・車高の低い車でも擦る可能性は低い


■パターン2:設計GL=BM+300㎜
・6000㎜/300㎜=0.05 → 5%の駐車場勾配
・駐車場の水は道路によく流れる
・アクセルを踏まないと駐車できないくらいの勾配のため駐車場の奥行きが短いと心配
・車高の低い車は擦る可能性がある
・このままの駐車場勾配でいくかどうかのボーダーラインくらい


■パターン3:設計GL=BM+480㎜
・6000㎜/480㎜=0.08 → 8%の駐車場勾配
・駐車場に水が溜まることは無い
・アクセルをしっかり踏まないと駐車できない勾配のため駐車場の奥行きが短いと危険
・車高の低い車は擦る可能性が高い
・余程の理由がない限り、このままの駐車場勾配はおすすめしない


どうでしょうか?
設計GLがいかに大事か駐車場の勾配だけでもわかりますよね。
ご自身の家の図面を見て、ぜひ一度、駐車場の勾配を計算してみてください。



◆解決策

すでに設計GLが決まってしまっていて、なんだか駐車場の勾配きつくなりそう、という方へ。
もちろん解決策はあります。
その一つが前述した②の土留めの有無、です。
土留めを設けることで、駐車場の勾配を緩くする方法です。
駐車場のスペースと家の周りのスペースとの間に段差をつけることで、駐車場の勾配を緩くすることができます。
画像ではわかりやすく石積みにしていますが、土留めの素材はほぼ何でもOK。
ただあまりにも高い段差になるとしっかりとしたコンクリート基礎が必要となります。
また段差が大きくなるということは、階段の数も増えますし、その分、駐車場のスペースはどんどん短くなっていきます。
土留めを設けると、お庭に立体感がでるので、デザイン性が高くなるメリットはありますが、もちろん、土留めの分費用は確実に高くなります。
最初の計画段階でわかっているのとわかっていないのとでは、お庭の予算確保も、建物の大きさや配置もまったく変わってきますよね。


◆最後に

家づくりにおいて、本当に本当に本当に大事な「設計GL」。
ついつい話が長くなってしまいました。
これでも頑張ってシンプルに考え方のみを伝えた、つもり…。

話が長すぎて逆に考えるの嫌になったわ!って方は、建物の計画段階で一度相談に来てみてください。
また、すでに建物を建築中の方も、どうするのがベストなのか一緒に考えましょう。
そのために私たち設計はおります!

お庭のプランを考える、ってデザインだけじゃないんです。
お客様の暮らしに寄り添う提案ができるように今後も頑張っていきますのでよろしくお願いします。


STAFF イトタガワ

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